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ロレックスの王様とまで言われる人気モデルであるデイトナ。その人気は衰えることを知らず、価値はますます上がっていくばかりです。今や正規店でも在庫がなく、お目にかかることすらとても難しいほど。ここでは、そんなデイトナの魅力や特徴、歴史についてお話させていただきます。
入手が難しい
デイトナは実物を見るのすら困難なほどの希少性を持っているモデルです。それは世界中どこの国に行っても同じ状況。その希少性が、デイトナの魅力の一つとなっています。入手するルートはロレックス正規代理店と並行輸入店とがありますが、デイトナは正規店ですら手に入りづらく、店頭に並んでいることがほとんどありません。もし正規代理店でデイトナを見かけたら即買うべきだといわれるほどに、出会うことが奇跡的な時計なのです。並行輸入店に至っては、もちろん見つけられる可能性はかなりレア。もし店頭に並んだとしても価格はかなり高額になっているでしょう。
デイトナの背景にも人気の秘密がある
デイトナというモデル名で正式にシリーズ化されたのは、実は1988年と最近のことです。しかしこのモデルのルーツとなるものはもっと古く1950年に開発されたオイスタークロノグラフ。そして1961年にNASAで宇宙開発が本格的に始動したのと同時に、「コスモグラフ」というモデルが誕生します。この時点でデイトナは周知されるのですが、ハリウッドスターのポールニューマンが着けたことデイトナの名は一気に認知されるようになります。ポールニューマンが着けたロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6239はデイトナ・ポールニューマンとして今でも伝説のモデルとなっています。
名実ともにナンバーワンの人気
キング・オブ・クロノグラフと言われているデイトナ。デザイン性、機能ともにロレックスを代表するモデルであり、ロレックスの数あるモデルの中でも存在感と人気は他の追随を許しません。デザインは常に時代の先をいっており、スポーツモデルながらスーツスタイルからカジュアルまで、どんなシーンでも合わせられる柔軟性を備えています。そして性能の高さこそが何よりもデイトナの一番の魅力ではないでしょうか。サーキットで求められる精度を実現するために何度もリファインされてきたプロレース仕様であると同時に、普段使いから仕事でも使える実用性を兼ね備えているところが魅力です。また、2000年以降のモデルでは自社開発のムーブメントが採用されて一段と精度を増しているのも見逃せません。
ロレックスの数あるモデルの中でデイトナにのみ備わっているのがストップウォッチの働きをするタキメーター。デイトナはレース仕様の時計であることから備わっている機能ですが、一般ユーザーにとってはあまり重要視されている機能ではありません。しかしデイトナが好きだというファンにとっては、そのような機能が時計の中に組み込まれている事実と、そのデザイン面に惹かれているというのが大多数。デイトナの個性として愛されています。
クロノグラフは経過した時間を計測する機能を持つ時計のこと。現代的に言い換えればストップウォッチ機能のことです。実用するかは抜きにして腕時計の機能としてはクロノグラフの人気はかなり高いものがあります。この機能、ストップウォッチと聞くと50m走とか想像される方がほとんどかと思いますが、レース仕様の時計ですので、30分、12時間と長い時間の経過を計ることができるのがポイント。文字盤には小さい時計のようなものが3つ配されています。これは秒針と30分、12時間の積算計からできており、リューズの上のプッシュボタンを押すと時間を計ることができます。
タキメーター機能は時速を測ることができる機能であり、クロノグラフについている機能です。レースでの使い方はクロノグラフのストップウォッチ機能使い、スタートボタンを押した後、1km地点でストップを押します。その時にクロノグラフ秒針が指しているベゼルに書いてある数字が1時間あたりの平均速度となります。これを仕事などに応用する場合もやり方は同じです。1回の作業をストップウォッチで計り、それにかかった秒数のクロノグラフ秒針が差すベゼルの数字が1時間にできる作業の平均回数となります。一見なくてもよい機能にも見えますが、これだけの機能が落とし込まれている精密さがデイトナの価値をさらに上げているのです。
デイトナ以前のプレデイトナがルーツ
このモデルの起源は1950年代に開発されたクロノグラフにあります。デイトナ以前ということでプレデイトナと呼ばれており、まだダイヤルにDAYTONEという文字はありません。ムーブメントはバルジュー社製のものが仕様されています。このモデルと現在のモデルの違う点はタキメーターがダイヤルにプリントされていることと、インダイヤルが文字盤と同色だということ。
1960年代に入り初代デイトナが発表
1959年にデイトナインターナショナルスピードウェイの完成とともに協力を開始したロレックス。そして1960年代に入り初代デイトナのRef.6239が発表されました。ムーブメントはプレデイトナと同じバルジュー社製のCal.72B。タキメーターがベゼルに刻まれ、インダイヤルも文字盤の色と反転させることで、より視認性の高い仕様となりました。しかし、まだ防水性に乏しくオイスターという文字は入っていません。またこのモデルはダイヤルのバリエーションが多く、中にはDAYTONAという文字が入っていないものもあります。
1970年ごろ発表のRef.6263で遂にオイスターを名乗れるように
1970年ごろに発表されたRef.6263から防水機能が高まり、デイトナで初めてオイスターの文字が表示されました。
1988年にデイトナのパーペチュアル(自動巻き)化
初代から第三世代まで手巻きだったムーブメントが自動巻きに変わったのが、第四世代となるRef.16520系。ムーブメントにはゼニス社製の『エル プリメロ』をカスタムしたRef.4030が使用されています。また、サファイアクリスタル風防が採用されたことと、トリプロック式のリューズが採用されたことで防水性能が100Mにまで高まったのも特徴です。
2000年、ロレックス悲願の完全自社製クロノグラフ・ムーブメントモデル誕生
2000年、とうとう完全自社製クロノグラフ・ムーブメントCal.4130を搭載した第五世代モデルが誕生しました。パワーリザーブは52時間から72時間へ大きくアップされ、より実用性の高いモデルへと進化。さらに時計を秒単位で合わせられるハック機能も追加。3つのインダイヤルの配置も変更となりました。
2016年、現行モデルRef.116500LNが登場
2016年に第六世代の現行モデルが登場。ベゼルがブラックセラミック製になったことで擦れや衝撃に強くなったのが特徴です。タキメーター目盛り部分がプラチナコーティングされたことで経年の劣化を防ぎ、視認性もアップしました。
デイトナのムーブメントは現行のCal4130が開発されるまでは、他社製のムーブメントを改良して使用されていました。他のモデルではムーブメントも自社生産していたのですが、クロノグラフのムーブメントは設計の難易度が高く、長年にわたり他社製を採用していたのです。したがって完全自社製クロノグラフ・ムーブメントCal4130はロレックスにとってまさに悲願のもの。開発に10年以上の歳月をかけて研究開発し生まれたムーブメントです。
前ムーブメントであるCal4030と比べると、完全自社製クロノグラフ・ムーブメントのCal4130では部品が少なくなりコンパクトなボディーを実現しました。その理由の一つはクロノグラフの機構の部品を6割ほど少なくすることに成功したこと。それまではクロノグラフ針、30分積算計、12時間積算計の3つの積算針に対し2つのリセットハンマーを必要としていましたが、クラッチ中間車を使うことでリセットハンマーを1つに集約しました。
前ムーブメントであるゼニス社のエルプリメロはクロノグラフの機械と時計の機械が離れて配置されていました。しかしCal4130ではクロノグラフ針、30分積算計、12時間積算計を稼動させるリセットハンマーを蓋裏側に集めることに成功。さらに、秒針の位置を左側から中央に変更したことで駆動配列の単純化にも成功し、伝達効率がアップしました。このことでメンテナンス面でも飛躍的に単純化でき、修理技術者たちに喜ばれています。
ムーブメントの心臓とも呼ばれるテンプは車輪のような輪になっており、これが時計の精度を保つ役割を担っています。テンプを支えるパーツをシングルブリッジ(片持ち式)からツインブリッジ(両持ち式)にしたことで安定性の向上に繋がり精度がさらに高くなりました。また、0.01ミリ単位の調整が可能になり、定期的なメンテナンスで永久的な機能を保てるように。発売から20年以上たった現在も高く評価され続けているムーブメントです。
機械式時計は、巻き上げられた主ゼンマイが元の状態に戻ろうとする力を利用して歯車を回すことにより、時計を動かす仕組みになっています。そしてパワーリザーブとはそのパワーを生み出す仕組みで時計が動作する持続時間のことを言います。そのパワーリザーブが前ムーブメントの52時間から72時間へ大幅にアップしました。自動巻式腕時計は、腕に着けていることで自動的にゼンマイが巻き上げられます。目一杯巻き上がると、時計を外しても72時間動き続けます。このことで金曜日の夜に外しても月曜日の朝まで動き続けることができ実用性が格段にアップしました。
デイトナを末永く使用するために注意すべきことがあります。以下のポイントに注意し、丁寧に扱いましょう。
クロノグラフ機構はとても精密な作りになっているため、過度にストップウォッチ機能の使用をすることで、メンテナンス時期を早めてしまう可能性があります。クロノグラフは常時動かし続けるのではなく、必要時だけの特別な機能として作られているものです。デザインとして楽しんだり、時々機能を使ったりする程度にしましょう。とはいえ、無理に使用しなければ大きな問題はありません。
また、プッシュボタンはねじ込み式であり、ねじ込まれていて初めて防水がきくものなので、使用後は必ずねじ込み直すおく必要があります。もし防水できずに故障が発生した場合はデイトナならではのパーツが必要になってしまいます。また時計内部も非常に複雑なのでメンテナンス費用が通常より高くなってしまうことは避けられません。
ロレックスの王様と言われるほど、多くの人々を虜にしているデイトナ。その魅力である高いデザイン性と機能性の価値はこれからも上がり続けていくでしょう。身に着けるステータスだけじゃなく実用性も実に高い。そして資産としての価値ももちろん高い。そんなデイトナの限りない魅力を支えているのは間違いなく、精巧に組まれたデイトナの内部構造です。これを維持しないことにはデイトナの魅力を維持することは実現できません。デイトナの魅力を維持し、また遺憾なく発揮させるには定期的なオーバーホールは絶対に欠かせません。
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オーバーホール 費用 |
専門店名 | |
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18,700円~ |
東京都台東区上野 5-25-1 イトウビル1F
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19,800円~ |
東京都中野区中野2-11-5 吉田ビル2階
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22,000円~ ※公式HPに税表記はありませんでした |
東京都墨田区緑4-11-3 デ・リード錦糸町501
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